機関紙「自治労府職」2017年12月27日号外(公務外認定処分取消請求控訴事件・逆転勝訴判決)

亡組合員の公務災害認定を勝ち取る取り組み

東日本大震災支援業務に従事中、脳血管疾患で逝去(2011年4月に続く2回目の派遣中5月)

公務外認定処分取消請求控訴事件 大阪高裁判決・地裁判決取り消し

逆転勝訴、公務上災害と認める

「主文、原判決を取り消す」12月26日、大阪高裁第73号法廷で13時10分に開廷した公務外認定処分取消請求控訴事件で田中俊次裁判長から、逆転勝訴となる判決が言い渡され、傍聴支援の参加者らは歓喜に満ちました。
判決内容は、控訴人(組合員遺族、訴訟代理人弁護士)側の主張をほぼ全面的に認める完全勝訴となりました。両弁護士のご尽力に感謝するとともに、この間の組合員の皆さんのカンパ、傍聴支援など長期にわたる協力と取り組みが結実しました。ありがとうございました。

また、当時の派遣先の状況や、公務外認定をめぐる取り組み等の資料収集にあたり、自治労岩手県本部・宮古市職員労働組合・自治労山形県職員連合労働組合の皆さまにも、貴重な資料をご提供いただきました。ありがとうございました。

《争点》

発症の公務起因性の判断基準、業務に内在する危険を評価

この裁判の争点は、被災地支援業務中に亡くなった組合員の脳血管疾患の発症に公務起因性があるかどうかの点。
この判断基準について判決では、最高裁判例を基に「公務による負荷が、医学的経験則に照らし、客観的に脳血管疾患の発症の基礎となる病変を、自然的経過を超えて著しく憎悪させ得ると認められる場合に、当該疾患の発症は、業務に内在する危険が現実化したものと評価して、公務起因性を認めるのが相当」とした。
また、地方公務員災害補償基金大阪府支部(以下「基金」と表記)が主張する「認定基準に基づく判断」では、「迅速かつ画一的に公務上外に係る処分をするために下部行政機関に対して運用の基準を示した通達等であって、もとより裁判所を法的に拘束するものとはいえない」とし、公務起因性の判断は認定基準によるのではなく、前記の観点での判断が相当とした。

本人素因の発症リスクは低く、早期の治療機会を喪失した

死因も争点としたが、判決では、くも膜下出血が原因とし、組合員の発症リスクファクターとして飲酒歴をあげる一方、直ちに自然的経過により発症する寸前まで進行していたと見るには困難で、その証拠もないとした。
救急搬送された当日昼ごろの頭痛は、くも膜下出血の前駆症状とし、運転業務の交代要員がなく勤務を継続せざるを得なかったものと合理的に推認され、被災地の状況からも現地の医療機関での受診は容易ではなく、治療機会を喪失させるものになったとした。

現実的な危険にさらされる派遣業務は相当な精神的負担、身体的・肉体的疲労に陥れた

派遣業務の負荷について、富田林保健所での業務と基本的に同種の業務としたが、当時の被災地の道路状況などから、通常業務とは「比較にならないほどの強い精神的緊張を強いられる状況にあったことが容易に推認」とした。さらに、異動先での強い異臭や自衛隊員の捜索活動などの目撃のほか、宿泊先ホテルは通常業務ではなく、ロビーには多数の避難者がありその配慮が必要な状況など、宿泊環境も過酷とした。
また、余震と大津波の発生の可能性の報道などから、派遣職員らは自らがかかる危険にさらされていることを認識しており、派遣期間中に余震等がなかったとはいえ、現実的な危険にさらされていたと断定した。
基金が主張した日常業務との比較で特に過重な職務従事ではないとする点では、時間のみを評価するのは相当ではなく、その業務に伴う精神的緊張の著しさや、派遣に係る交通手段、移動時間とその時間中の状況、派遣先での宿泊施設の状況、派遣中の睡眠を含む休憩・休息の状況等をふまえ、総合的に判断するのが相当とした。

《今後の対応》

基金に対し上告断念を要請

今回の判決を受け、地方公務員災害補償基金大阪府支部に対し、自治労府職は12月27日、判決内容を重く受け止め、上告を断念するよう要請書を手交した。

【裁判闘争の経過概要】
《2011年》
05月12日 富田林保健所から、4月に続き2回目派遣、現地医療チームの運転手業務に従事
 同 14日 宿舎で頭痛を訴え病院へ救急搬送
 同 20日 脳出血またはくも膜下出血で死亡
07月21日 地方公務員災害補償基金(以下「基金」)大阪府支部に公務災害認定請求
《2012年》
08月30日 基金同支部が公務外と認定
10月23日 基金同支部審査会に審査請求
《2013年》
09月11日 基金同支部審査会が請求棄却
10月10日 基金審査会に再審査請求
《2014年》
05月08日 基金審査会が再審査請求棄却裁決
11月06日 大阪地裁に公務外認定取消請求訴訟提訴
《2016年》
11月21日 証人調べを経て結審
《2017年》
02月06日 大阪地裁が請求棄却判決
12月26日 大阪高裁が逆転勝訴判決